【車の磨き作業は超重要】車の下地処理で仕上がりが決まる理由を徹底解説

アウディTTのボンネットを磨くアルファの社員

専門店のコーティング施工が高額なのは何故でしょうか。
原料となるコーティング剤が高いから設備環境が必要だからなのか、それともコーティング剤の塗布に技術が必要だからか。
どれも理由の1つではありますが1番の理由はなによりも「下地処理の磨き工程に技術と時間を要するから」です。
徹底した下地処理があるからこそプロの仕上がりとなるのです。
このコラムではコーティングの仕上がりにも大きく影響するこのプロの磨き、下地処理について触れていこうかと思います。

目次

磨きってどんな作業?

ポルシェ911にスポンジバフを当てている写真

磨きとは、ポリッシャーという専用の機械を使って塗面表面の傷やシミなどを磨き、平滑な状態を作る、コーティング下地処理工程の一つです。
コーティングの密着性が向上するのはもちろん、平滑なボディ=傷やシミのない美しいボディを作り上げるための、カーコーティングの仕上がりを左右する最も重要な工程です。
しかし、ボディを磨くということは言い換えれば塗面を削っているということ。

削り続ければいつかはクリア層の下のカラー層、中塗り下塗り層まで達してしまいます。
その為、理想は「削らずに磨く」ことです。
すべての車に数ステップに分けた磨き工程が果たして必要でしょうか?できる限り本来のクリア層だけを残しながら削らずに磨き上げるためには豊富な経験と知識が必要です。
また、自動車のメーカーや年式によっても塗装の質は異なり、メーカー車種の塗面特性を正確に熟知しているのもコーティングプロだからこそできることです。

その分、職人の技術も問われ、作業時間もかかるため、質の高いコーティングはどうしても高額になってしまいます。

磨きの基本知識

塗面の断層図

さて、うえでも少しだけ触れましたがクリア層、カラー層、中塗り下塗り層とは一体何でしょうか?

塗装の種類にもよりますが、一般的な自動車の塗装は4、5層が重なることによって成り立っています。
上からクリア層、カラー層、中塗り層、下塗り層となっており、コーティングの下地処理で磨くのはこのクリア層と呼ばれる表層になります。
これらの層はすべて合わせても髪の毛1本よりも薄く、傷の程度によってコンパウンドの番手を変え、30μm程度の厚さしかない層のみ凹凸を均していくこの工程は非常に緻密で繊細な作業となるのです。

素人の方が安易にDIYで研磨作業をすると誤った番手のコンパウンドを使ってしまい、カラー層や中塗り層まで削ってしまう可能性もあります。
コーティング施工を検討している場合はプロに依頼することを強くお勧めします!

磨きでとれる傷、取れない傷

アクアのフェンダーを利用した磨き作業で消せる傷と消せない傷の比較写真

上の図をご覧ください。
左の傷は薄く細かいのに対し、右の傷は白く色の入った傷になっています。
コンパウンドやポリッシャーを利用した研磨作業で削りきって綺麗にすることができる傷は写真の左側の傷になります。

では、何故右側の傷は削りきることができないのでしょうか?それは、クリア層よりも奥の下塗り層にまで傷が及んでいるからです。
上の基礎知識の箇所の図を見るとわかると思いますが、下塗り層は鋼板の一つ上、ほぼ最深部なのです。
ここまで削りきるということはコーティング前の下地作りの域を逸脱している為、板金塗装の分野になります。

施工業者へ事前に確認し、傷の具合を確認しておくのは大切です。
このように傷の種類によって、コーティング前の研磨作業は変わっていきます。
パッと見るだけでは皆様では判断しにくいところもあるかと思いますので遠慮なくプロに相談してみてください。

実際に見てみた!車の塗装を実際に鋼板まで磨いてみた!

実物を用いた自動車塗装の断面図

図だけではいまいち分かりにくいかと思うので、実際に各層を見てみましょう!サンプルはアクアのグレーメタリックのパーツを使用します。

⑤最深部の鋼板

④電着プライマー(下塗り層)

③サフェーサー(中塗り層)

②ベース塗料

①クリア層

どうでしょうか?少しイメージしやすくなったのではないでしょうか。
この①クリア層のみを削るのがコーティング施工前の下処理になります。
②以降の処理が板金塗装の分野、ポイント補修となります。

自動車のメーカーや年式によっても塗装の質は異なり、メーカー車種の塗面特性を正確に熟知しているのも経験豊富なプロだからこそできることなのです。

まとめ

BMW M3のホイール

いかがでしたか?コーティング施工における磨きの工程がいかに重要かお分かりいただけたでしょうか。
車を磨く、一見すると簡単そうにも見えますが、塗装や傷の状態判断にはじまり、針穴に糸を通すような精密な下地磨き作業を行っているのです。
その分、DIYでの施工には塗面の削りすぎ、解離といった大きなリスクを伴うこともあるのでご自身でコーティングをやってみたい!と思っている方は慎重にやることをお勧めします。

ここまで聞くとカーコーティングが高額になるのも頷けますね。
このコラムが皆様の美しい愛車作りの役に立てば幸いです。
それでは、良きカーライフを!

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