【車の艶消し塗装】マット塗装の正しいメンテナンス方法を専門店が徹底解説

マット塗装のメンテナンス方法を専門店が徹底解説

近年、特に高級車を中心に、街中でもマットカラーの車を目にする機会が増えてきました。
一昔前までは、一部の高級車の上位グレードでしか選べなかったこのマットカラーも、今では標準仕様として採用されることが多くなり、その人気はますます高まっています。
艶のあるグロス仕上げとは異なり、マットな質感がもたらす重厚でエレガントな印象が、多くの人々の心を惹きつけています。

しかし、魅力的なマットカラーを選んだオーナーの中には、「見た目で選んだけど、ここまで手入れが大変だとは思わなかった」と感じる方も少なくありません。
一体なぜ、そうした声が上がるのでしょうか?

この記事では、マットカラーペイントの特性と性質を詳しく解説し、その魅力を長く維持するために知っておくべき情報をお伝えします。
具体的には、手洗いやクロスを使った適切な磨き方、セラミックコーティングの有効性、さらにはラッピングのメリットとデメリットについても触れていきます。
また、日常的なケアで注意すべきポイントや、ガラスコーティングや溶剤の選び方、染みやムラを防ぐための工夫についても取り上げます。

マットカラーの美しさを保つためには、専門的な知識が欠かせません。
落ちやすい汚れの対策、綺麗な状態を維持するための方法、そしてトラブルが発生した際の相談先についても、この記事で詳しく紹介していきます。
これらの情報を参考に、愛車の魅力を最大限に引き出しつつ、手入れの手間を最小限に抑えることができるよう、ぜひお役立てください。

目次

マットに見える原理

そもそも、なぜ塗装面がマットに見えるのでしょうか。
それは、塗装面に微細な凹凸が存在するからです。
グロス塗装の場合、塗装面に入射する光と目に届く光の角度が一致するため、つやつやとした光沢感が生まれます。

しかし、マット塗装では、表面がわずかにザラついているため、光が乱反射し、目に入る光が分散されます。
その結果、光がぼやけて見えるのです。
このため、マットカラーには独特の落ち着いた雰囲気があり、維持するためのケアには注意が必要です。

下の図をご覧ください。

質感の見え方は反射

上で触れた内容を図式化するとこのようになります。
グロスは入ってきた光が同じ量、同じ角度で目に届くのに対して、マットは入ってきた光が分散されて目に届きます。
この事前知識があることでお手入れ方法を理屈で理解することが可能になりますので覚えておきましょう。

マット塗装は研磨作業ができない

上の内容を踏まえると、マット塗装のエレガントで高級感のある見た目は、塗装表面のザラザラとした質感によって生み出されていることが分かります。
この凹凸のせいで水弾きが悪く防汚性に優れていないうえに汚れが付着すると凹凸の中に入り込み、取り除くのが困難になります。
さらに研磨による汚れや傷の除去ができないためコーティングやボディリペアの工程で使用されるポリッシャーは当てられません。

研磨してしまうと表面の凹凸が失われ、せっかくのマットカラーが台無しになってしまいますからね。
そんなデリケートなマットカラーのお手入れ方法を下記で説明していきます。

マットカラーのお手入れ方法

ここからはマットカラー車のお手入れ方法を解説していきます。
グロスボディと比較するとやってはいけない事、注意点が非常に細かく多いのでよく読んで愛車を美しく保てるようにしましょう。

定期的な洗車

言うまでもなく、定期的な洗車はとても大切です。
この基本的なケアをしっかり行うだけで、ほとんどのトラブルを未然に防ぐことができます。
特に汚れがついたり、雨が降った直後は、こまめに洗車するよう心がけましょう。

手洗いの際には、クロスやスポンジの選び方にも気を配り、ムラなく綺麗に仕上げることが肝心です。
こうした丁寧なケアを続けることで、塗装面の良好な状態を保ち、染みや劣化を防ぐことができます。

洗車は中性もしくは弱酸性のシャンプーで行う

市販のカーシャンプーを選ぶ際には、中性か弱酸性のものを使うようにしましょう。
酸性やアルカリ性のシャンプーは、マット塗装にダメージを与える可能性が高いので、避けるべきです。

また、コンパウンド(研磨剤)やワックスが入っているシャンプーは、艶を出すためのものなので、マット塗装には向きません。
これも避けるように注意が必要です。

もし、どうしても取れない水垢や頑固な汚れがあったら、マイクロファイバータオルをその部分に当てて、その上に50℃から70℃くらいのお湯をかけ、やさしく拭き取る方法を試してみてください。
ボディを強くこするのは、塗装を傷める原因になるので、絶対に避けるようにしましょう。

洗車後に水をボディに残さない

これはマット塗装の車に限ったことではありませんが、雨や水道水に含まれるミネラルや不純物は、水分が蒸発した後もボディに残ってしまい、イオンデポジットやウォータースポットの原因になります。
特に、表面に微細な凹凸があるマット塗装では、水滴がボディに留まりやすく、流れ落ちにくいという特徴があります。
ですので、洗車後には「ボディに一滴も水滴を残さない」という意識を持って、丁寧に拭き上げることが大切です。

できる限り屋内で保管する

これは「できれば」の話になりますが、マット塗装の車は、可能な限り屋内で保管することを強くおすすめします。
マット塗装はその特性上、汚れや傷がつきやすいため、雨や砂埃、花粉、黄砂、鳥のフンなど、さまざまな外的要因にさらされる屋外での保管は避けたいところです。

しかし、マンションや集合住宅にお住まいの方は、どうしても屋外で保管せざるを得ない状況が多いのが現実でしょう。
そのような場合には、以下で紹介する方法で、できる限りボディを保護する対策を検討してみてください。

マット塗装専用コーティング

カーコーティングにはさまざまな種類がありますが、特にマット塗装には専用のコーティング剤を選ぶことが非常に重要です。
グロス用のコーティング剤を使ってしまうと、塗装面の凹凸が埋まってしまい、余計な光沢が出てしまう恐れがあります。
マット塗装は研磨が難しいため、一度光沢が出てしまうと再塗装しか方法がなくなることもあり得ます。

そのため、施工を依頼する業者選びは慎重に行う必要があります。
正しく施工すれば、カーコーティングには防汚効果があり、汚れが付着しても落としやすくなるといったメリットがありますので、マット塗装のオーナーにはぜひオススメしたい対策です。

マット塗装専用プロテクションフィルム

これは、マットカラー専用に設計された半透明の艶消しフィルムです。
このフィルムは、車の質感を損なうことなく、さまざまな外的要因から車をしっかりと守ることができます。
車の保護という観点から見れば、この専用プロテクションフィルムは最も優れていると言っても過言ではありません。

しかし、マット専用のカーコーティングと比較すると、どうしても価格が高くなりがちです。
そのため、予算を気にせずに塗装を徹底的に守りたい方や、洗車傷を心配せずにゴシゴシと洗車をしたい方には、このフィルムを検討することを強くオススメします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。マットカラー塗装は、通常のグロス塗装とは一味違った高級感や存在感を引き立ててくれます。
しかし、その一方で、お手入れが複雑で、美しさを維持するのが難しい塗装でもあります。
当コラムでご紹介した方法を参考にしていただき、愛車のメンテナンスにお役立ていただければ幸いです。

それでは良きカーライフを。

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