車に付着する汚れの種類とその落とし方をプロが徹底解説

車のキーシリンダーにディテーリングブラシを当てている様子

車はどんなに綺麗に乗っていても屋外を走行するというその特性上、空気中のあらゆる物質が汚れとしてボディに付着します。
粒子状で傷の原因となりやすいものや、塗装面を侵食する性質をもったものなど様々です。
愛車を美しく保つため、汚れに対する知識とその対処法を知っておくということは重要です。

この本記事では車に付着する汚れの種類や落とし方について詳しく触れていきたいと思います。

目次

汚れの種類にはどんなものがあるのか

テスラモデル3に付着した汚れ

車に付着する汚れの種類は大きく分けて3つあります。

・空気中に舞う汚れ

・下から巻き上げる汚れ

・車から発生する汚れ

上記の三点です。これらそれぞれに特徴があり、誤った知識をもとに「汚れ」と一括りにしてしまうと、意図せずして愛車を傷めつけてしまう可能性もあります。
汚れに対する正しい知識とその落とし方について詳しく解説していきましょう。

空気中に舞う汚れ

汚れた車のボディ

・水アカ

雨が降った後、屋外駐車していた車のドアミラー、ドアノブ、バンパーの下等に黒いスジが…。
皆さまにはそんな経験がおありでしょうか。
大気中の埃、塵、スス、排気ガス中の成分、古いワックス等が雨水に溶け込み、乾燥することによって固着します。

これを水アカと呼びます。
放置しすぎるとカーシャンプーなどで落とすことができない厄介な汚れです。
この水アカには原因となった付着物質によって性質が異なり、それぞれに対処法が存在します。

水性の水アカは埃や塵、ミネラル等が固着したもので、油性の水アカはカーワックスや古いコーティング、グリースなどの油分が固着したものになります。
見分け方としては油性水アカのほうが黒くなる性質を持っており、パッと見たときに汚いなあと感じる汚れは油性水アカであるケースが多いです。
素人では判別し辛いところもあると思うので、付着してから除去ではなくこまめな洗車による予防を心がけるようにしましょう。

【主な対処法】

1~2週間に一度の「中性カーシャンプー」による予防洗車

窓ガラスに付着した水アカには「お酢やクエン酸(酸性)」が有効

ワックスや古いコーティング剤による油性水アカには「重曹(アルカリ性)」が有効

・イオンデポジット

一般的な水道水や井戸水などに含まれるイオンやミネラル成分、その他不純物によってできるウロコ状のシミの事を指します。
主成分がケイ素とよばれるものであり、溶剤を利用した化学反応による除去は一般の方が行うにはリスクが高すぎるでオススメしません。
こまめな洗車に加え、洗車後にボディに水滴を残さないといった予防策を取りましょう。
イオンデポジットができてしまった場合はプロへの除去依頼を推奨します。

【主な対処法】

1~2週間に一度の「中性カーシャンプー」による予防洗車

洗車後にボディに水を残さない

ボディ研磨

・ウォータースポット

雨水がボディに付着した状態で放置することで、水滴がレンズのように働き、レンズ効果でクリヤー層の下の塗面が変色してしまう状態を指します。
。水アカやイオンデポジットのようにボディ表面から隆起しているものではないので、除去の方法としては研磨作業しかありません。
プロへの除去依頼を推奨します。

【主な対処法】

日中の洗車を避ける

ボディ研磨

・黄砂、酸性雨

春先になるとやってくるおなじみの黄砂。
粘土物質を含み、雨等と組み合わさるとへばりついて取りにくくなります。
また、汚染物質などを吸着しており、放置するとシミの原因になります。

酸性雨は工場や自動車の排気ガスに含まれる汚染物質が雨に取り込まれ、酸性(ph5.6以下)になったものを指します。
放置するとそれらに含まれていた酸の濃度が上昇し、塗面にダメージを与えます。
いずれもこまめな予防洗車で被害を抑えることができます。

【主な対処法】

1~2週間に一度の「中性カーシャンプー」による予防洗車

・鳥の糞、虫の死骸

虫や鳥の糞が、見た目だけでなくボディに与えるダメージについては知らない方も多いと思います。
放置すると酸性クレーター、アルカリ性クレーターの原因となり、塗面を蝕みます。
虫を食べている鳥の糞も同様です。

これらの汚れの厄介なところは、季節によって汚れの性質が変化するところにあります。
虫の種類や鳥が好んで食す虫の種類まで把握することはできないので、付着した際はすぐに対処するようにしましょう。
付着して時間が経ったものに関しては、擦らずに水を染み込ませたティッシュを当該箇所に張り付けて5分から10分つけおいてからやさしく拭うのが塗面を傷めずに除去することができるのでオススメです。

【主な対処法】

付着した直後は濡らしたマイクロファイバータオル等でやさしくふき取る

付着してから時間が経ったものは水を染み込ませたティッシュを当該箇所に張り付けてふやかしてからやさしく取る

道路から巻き上げる汚れ

除雪車の走行

・ピッチタール

ピッチタールとは、アスファルトに含まれている油性物質の事を指します。
アスファルト舗装の成分が走行時に巻き上げられ、車の下腹部に付着するもので、固体のピッチと液体に近いタールに分けられます。
付着した直後はあっさりと落とすことができるのですが、放置すると空気中の汚れなどを巻き込み、ボディにこびりついてしまうこともあります。

他の汚れ同様できるだけ早く落とすようにしましょう。
油性なので少し落とすのが難しいです。
ごしごし擦らずに落とせる範囲で落とし、それでも取れなかった場合は専用クリーナーを使うことを推奨します。

【主な対処法】

専用リムーバー

シリコンオフ等の有機溶剤

市販の洗車用粘土

・鉄粉

洗車をして一見綺麗になったように見えるボディを撫でると何故かザラザラする。
いったい何故なのか。
他人の車が走行中に巻き上げたブレーキダスト、鉄道路線等、様々な場所から発生した目に見えない鉄の粉が、ただ普通に走っているだけでも沢山ボディに付着します。
これが鉄粉の正体です。

鉄粉粒子は尖っている為、塗装のクリヤー層に深く突き刺さり、放っておくと酸化し、錆の原因となります。
通常の洗車ではとることができないので、鉄粉を化学反応で溶解させる除去剤が効果的です。
専門店では、除去剤で取り切れない鉄粉は専用の粘土を使い手作業で除去しています。

【主な対処法】

市販の鉄粉除去剤

市販の洗車用粘土

・融雪剤

通称「塩カル」。降雪のある地域なら馴染み深い冬の天敵。
融雪剤、解氷剤に含まれる塩化カルシウム等の無機塩類は、塩化イオンの働きで錆を発生させます。
付着したまま放置すると車の下回りが知らないうちに錆だらけなんてことも。

これらは車のリセールバリューにも響きますので、海帰り、スキー帰り、雪道を走行した後は車の下回りの洗車も忘れずに行うようにしましょう。
下回りの洗車と聞くと大がかりな作業を想像するかもしれませんが、方法はいたってシンプル。
入念に水で流してあげるだけです。

本当はカーシャンプーなどで洗えるとよいのですが、リフトアップ等の環境がないと少し億劫だとは思うので、水で流してあげるだけでも全然問題ありません。
その他、ガソリンスタンドや専門店でも対応可能なので尋ねてみるとよいでしょう。
尚、毎年の降雪が予想される地域にお住まいの方等は塩害対策をしておくことをオススメします。

【主な対処法】

「中性カーシャンプー」での洗車

下回りは水で入念に流す

専門店への下回り洗浄依頼

車から発生する汚れ

・ブレーキダスト

ブレーキダストが付着したホイール

ボディは綺麗でもホイールばかり汚れていく、といった経験がある方も多いはず。

ホイールをスポークの隙間から覗くと、金属の円盤(ディスクローター)が見えると見えると思います。
車のブレーキの仕組みは、ペダルを踏むとホイールと一緒に回転しているディスクローターにブレーキパッドが押し付けられ、その摩擦力で減速や停止をするといったものになっています。
ブレーキパッドには金属が含まれており、ブレーキをかけるときに摩耗して金属粉が発生します。

これらがブレーキダストと呼ばれるものになります。
金属という点では鉄粉と対処方法は変わりませんが、ピッチタールと組み合わさることによって複雑な汚れとなり、専用クリーナーでなければ落とせなくなることもあります。
こちらもこまめな洗車である程度予防することはできるので、注意してみてあげるようにしましょう。

【主な対処法】

ホイール用鉄粉除去クリーナー

酸性溶剤を使用する ※ホイールによっては使用できない

まとめ

いかがだったでしょうか。
車につく汚れはこんなにも種類があるのです。
そのそれぞれに対処法があり、使用溶剤も異なるため、汚れの種類が分からず不安な方は、専門店で洗車を依頼してみるのもひとつの手かもしれません。

汚れの種類によってはボディにとって致命的なダメージになりかねないので、本記事を参考に適切な対処をできるようにしましょう。

これを機に休日に時間を作って愛車を洗ってみてはいかがでしょうか。
それでは良きカーライフを。

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