BYDとは?テスラに勝った“もうひとつのEV革命”を知っていますか?

BYDとは?テスラに勝った“もうひとつのEV革命”を知っていますか?について解説

EVといえばテスラ。だが、世界に目を向けると「それだけじゃない」ことに気づきます。

2023年、EVの販売台数でテスラを上回ったメーカーがある。
それがBYD(ビーワイディー)
中国・深圳に本社を置くこの企業は、今や世界最大級のEVメーカーとして君臨しています。

「え?聞いたことないけど?」
それも無理はありません。
BYDはまだ日本ではそれほど有名ではなく、メディア露出も限られています。

けれど、テスラファンのあなたにこそ知ってほしい。
BYDの強さは、テスラとは違う哲学と戦略にあります。


目次

テスラが“iPhone”なら、BYDは“Android”

テスラが“iPhone”なら、BYDは“Android”について解説

たとえるなら、テスラはAppleのiPhone。洗練されたデザイン、圧倒的なブランド力、革新的なUI。
そして価格もそれなりにします。

一方のBYDはというと、Androidのような存在。
「機能性重視」「価格がこなれている」「選択肢が豊富」「世界中に広がる」といった特徴を持っています。

どちらが上という話ではありません。
ただし、「EVの本格的な普及」という視点で見ると、“現実解”に近いのはむしろBYDかもしれないのです。


すごいのに、なぜ日本で知られていないのか?

すごいのに、なぜ日本で知られていないのか?について解説

理由は単純。参入が遅かったからです。

BYDが日本にディーラーを構えたのは2023年。
しかも最初は「Atto 3」という名前のSUVが1車種のみ。
広告もほぼ打たず、販売網も限られていました。

けれど、世界ではすでに大旋風を巻き起こしています。
たとえば、

  • 2023年:世界EV・PHEV販売台数がテスラ超え
  • 中国国内ではEVタクシーの7〜8割がBYD製
  • 欧州・中東・オーストラリアなど、世界70か国以上で販売
  • さらには自社製のEVバスが、ロンドンやロサンゼルスでも走っている

…にもかかわらず、日本では「BYDって何?」状態。

まさに“黒船”未満の静かな侵攻が始まっているのです。


BYDの強さは「バッテリー」にある

BYDの強さは「バッテリー」にあるについて解説

BYDの原点は、バッテリー。
1995年の創業当初はスマホ用バッテリーのメーカーでした。

その技術を活かして開発されたのが「ブレードバッテリー」。
これは次世代のLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーで、テスラが一部モデルで採用を始めた方式でもあります。

特徴は次のとおりです。

  • 爆発・発火しにくい
  • 充電回数に強い(長寿命)
  • コストが安い

つまり、BYDの強さは「かっこよさ」ではなく、地に足の着いた技術と価格戦略にあるのです。


この先、日本で“テスラの対抗馬”になり得るか?

この先、日本で“テスラの対抗馬”になり得るか?について解説

可能性は大いにあります。

なぜなら、日本市場におけるEVの課題は明確だからです。

  • 高すぎる価格
  • インフラの整備不足
  • ブランド偏重な購買心理

これらを覆す鍵は「選択肢」です。
そして、BYDはまさに「選択肢を広げる存在」。

例えば、「セカンドカーとして手頃なEVがほしい」「でも軽自動車じゃない、ちゃんとしたクルマがいい」というニーズ。
そこにドンピシャで刺さるのが、BYDのドルフィン(Dolphin)やシール(Seal)といったモデルたちです。


主要モデルで見るBYDの実力:あなたに合うのはどれ?

主要モデルで見るBYDの実力:あなたに合うのはどれ?について解説

日本市場に上陸したばかりのBYDですが、世界ではすでに豊富な車種を展開しています。
ここでは、テスラとの比較視点を交えながら、主要モデルをご紹介します。

Atto 3(アットスリー):バランスのとれた入門SUV

日本で最初に発売されたBYDのモデル。
Cセグメントの電動SUVで、コンパクトながら車内は広く、充電性能も十分
都市部での通勤やファミリーユースにぴったりです。

  • 航続距離:約470km(WLTC)
  • 価格:約440万円
  • 競合モデル:テスラModel Y、日産アリア、ヒョンデKONA EV

注目ポイントは、回転する15.6インチのセンターディスプレイ。
縦でも横でも使える仕様は、まさに“アジア的合理性”の象徴です。


Dolphin(ドルフィン):国産車キラーなコンパクトEV

2024年中に日本上陸予定のDolphinは、Bセグメントのハッチバック。
トヨタ・ヤリスや日産ノートと肩を並べるサイズ感ながら、室内空間・電動パワー・価格のすべてで勝負できるという注目モデルです。

  • 航続距離:約400km前後
  • 価格予想:約350万円〜
  • 競合モデル:日産サクラ、ホンダe、軽EV全般

コンパクトEV市場で本格的に戦える数少ないモデルです。


Seal(シール):テスラModel 3のライバル登場

スポーティな外観とロングレンジ性能で注目されているセダンタイプ。
名前からして、テスラのModel 3を意識しているのが伝わります。

  • 航続距離:約570〜700km(グレードによる)
  • 価格予想:約600万円〜
  • 競合モデル:テスラModel 3、ポールスター2

バッテリー技術や加速性能でも引けを取らず、内装の質感も高め。
“脱テスラ”派の本命モデルになり得ます。


Tang(タン):7人乗り高級SUVの本気度

あまり日本では注目されていませんが、欧州では人気の高級SUV。
7人乗り、AWD、パワフルな走り、重厚感のある装備が特徴で、BYDの「プレミアムライン」を象徴する存在です。

  • 航続距離:約500km前後(EV)、またはPHEV仕様
  • 価格:約800万円〜
  • 競合モデル:テスラModel X、メルセデスEQB

テスラとBYDの価格・スペック比較表(2024年版)

テスラとBYDの価格・スペック比較表(2024年版)について解説
モデル名メーカー航続距離(WLTC)価格(税込)特徴
Model 3(RWD)テスラ約565km約530万円〜ソフトウェア先進、加速性能◎
Model Y(RWD)テスラ約540km約580万円〜人気のSUV、充実のOTA機能
Atto 3BYD約470km約440万円実用性重視、車内広々
DolphinBYD約400km(予想)約350万円〜安価で使える次世代EV
SealBYD最大700km約600万円〜モデル3の直接ライバル

※2024年時点、日本市場の価格・航続距離に基づく推定値を含みます。


「価格vs体験」で見るとBYDは強い

テスラのすごさは、車そのものよりも“体験”にあるとよく言われます。
ソフトウェア更新で車が進化する、オートパイロットの未来感、イーロン・マスクの魅力。

一方、BYDは「良い車を、ちゃんと作って、ちゃんと売る」という地に足のついたメーカー。
価格が控えめで、初めてのEVとしてのハードルが低い。

あなたがもし、

  • 「テスラは魅力的だけど高すぎる」
  • 「もっと現実的な選択肢がほしい」

と感じているなら、BYDはまさにその答えかもしれません。


なぜ世界で選ばれているのか?実例とともに紹介

なぜ世界で選ばれているのか?実例とともに紹介について解説

テスラがカリフォルニア発の「エモーショナルEV」だとしたら、BYDは「グローバルで戦える実務派EV」。
世界での人気には、明確な理由があります。

理由①:中国での圧倒的なシェアと信頼性

中国ではすでに、都市部のタクシーや配車アプリ車両の7〜8割がBYD車
北京市や上海市を歩けば、BYDのロゴを何度も目にします。

なぜタクシー業界が選ぶのか?
理由はシンプルです。

  • 整備が簡単で壊れにくい
  • 充電コストが安く済む
  • バッテリー寿命が長い

つまり、「ビジネスとして使えるEV」としての評価が非常に高いのです。


理由②:欧州でのEV評価試験でも高評価

EVの基準に厳しいヨーロッパでも、BYDは健闘しています。
例えば、ユーロNCAPの安全性試験では「SEAL」が最高評価の5つ星を獲得

加えて、ドイツやノルウェーなどEV先進国でも、BYD車はじわじわとシェアを拡大中。
とくに「高くて重いEVに疲れた層」にとっては、価格と実用性のバランスが魅力的です。


理由③:EVバスや商用車でも圧倒的シェア

BYDは乗用車だけではありません。
実は、EVバスでは世界シェアNo.1
イギリス・ロンドンの2階建てバスにも、BYD製バッテリーが使われています。

アメリカ・ロサンゼルスでは、BYDのEVバスが都市交通の一部を担っています。
このように、「公共交通機関からの信頼」=技術と実績の証明でもあるのです。


実際に日本で乗るには?補助金・購入方法・ディーラー情報

実際に日本で乗るには?補助金・購入方法・ディーラー情報について解説

「じゃあ、BYDって日本でどうやって買うの?」
ここからは、日本国内での購入方法や補助金制度についてご紹介します。


ディーラーはどこにある?

現在、BYDは日本において正規ディーラーを全国で展開中
特に関東・関西・中京エリアを中心に、続々と店舗が増えています。

  • 2024年5月時点で30店舗以上
  • 年内に60店舗以上へ拡大予定

今後は地方都市や郊外にも進出予定で、メンテナンス体制も強化中です。


補助金はいくら出る?

BYDのEVも、国のCEV補助金制度(クリーンエネルギー車導入促進補助金)の対象です。

  • Atto 3:最大65万円(国)+自治体独自で10〜50万円程度
  • DolphinやSealも補助対象見込み(価格帯により変動)

※東京都や千代田区などでは、合計で100万円以上の補助金になるケースも。

👉 補助金制度の詳細はこちらの記事でも解説しています。
テスラとBYD、どっちがおすすめか?本気で選ぶ電気自動車の最適解


実際の購入はどうする?

BYDジャパンでは、車両価格に補助金申請サポートや保険手続きも含んだ“ワンストップ”対応を行っており、初めてのEV購入者でも安心です。

  • Webサイトから商談予約 → ディーラー来店
  • 試乗 → 見積もり → 補助金申請サポート付き契約
  • 納車までの目安:1~3か月(モデルにより異なる)

BYDは“無名”だけど、EVの未来を変えるかもしれない

BYDは“無名”だけど、EVの未来を変えるかもしれないについて解説

テスラに惹かれる人は多い。
イーロン・マスクのカリスマ性、OTAアップデートで進化し続ける車、未来を先取りしたようなデザイン。
どれもワクワクする要素ばかりです。

でも、BYDを知った今、こう思いませんか?

「テスラだけがEVじゃない」

BYDは、テスラとは真逆のアプローチで世界を席巻しています。
華やかな広告より、確実に走る信頼性。話題性より、地に足のついた技術と価格。
ブランド力より、現場での実績。

そして何より、「EVは特別じゃなくてもいい」という姿勢。

  • 運転がラクで、
  • 維持費が安くて、
  • 安全で、
  • 長持ちして、
  • お財布にも優しい。

そんな“ちょうどいいEV”こそ、EV時代の本命ではないでしょうか。


テスラファンこそ、BYDを知ってほしい

あなたがテスラを検討しているなら、BYDは間違いなく比較対象に入れるべきブランドです。

  • 予算内で航続距離を重視するなら?→ BYD
  • 生活に馴染むサイズ感がほしい?→ BYD
  • ブランドよりも使い勝手を重視?→ BYD

逆に、「所有感」や「未来感」を最重視するなら、もちろんテスラは魅力的です。
どちらが“正解”という話ではなく、選択肢があること自体がEV時代の進化なのです。


これからのEV選びに“BYD”という選択肢を

かつて日本でも「韓国車なんて」と言われていた時代がありました。
でも今、ヒョンデやキアのEVは世界的に高い評価を得ています。

BYDもまた、「いつの間にか世界を変えていたブランド」になるかもしれません

今はまだ、“知る人ぞ知る”存在かもしれませんが、数年後には「BYDを選ぶのは当たり前」という時代がやって来る──そんな未来が、すぐそこに見えています。


目次