【裏技】ガラスコーティングを重ね塗りする際の注意点をプロが徹底解説

ガラスコーティングを重ね塗りする際の注意点をプロが徹底解説

愛車をきれいに保つために皆さんはどのような対策をとられていますでしょうか。
クルマ購入時のボディの輝きを維持する目的や、過酷な環境の中外的要因からクルマを守るためにカーコーティングを施工された方も多くいらっしゃると思います。
現在ではガラスコーティングが主流となり、カー用品店やインターネットでも自分で施工できるものからプロ仕様のものまでさまざまな商品があります。

その中でも最近では「コーティングの重ね塗り」や「コーティング被膜を増膜」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では施工店としてプロの目線でガラスコーティングの重ね塗りについてや効果、施工の際の注意点などをまとめていきます。

目次

ガラスコーティングの重ね塗りについて

ガラスコーティングの重ね塗りとは、読んで字のごとくガラスコーティングを施工した上に再度ガラスコーティング剤を塗布する作業のことです。
ガラス被膜の層を増膜することで厚みをアップさせ、さまざまな効能を上げる技法のことを指します。
以下に見ていきましょう。

ガラスコーティングの重ね塗りはしても問題無い

まずガラスコーティングを重ね塗りすることはそもそも大丈夫なのかという点ですが、条件を満たせば施工しても問題はありません。
その辺りについての内容は下記ガラスコーティングの重ね塗りの注意点に記載しますが、むしろ正しく施工すればガラスコーティングの効果をさらに向上させることが可能となります。

ガラスコーティングの重ね塗りは効果があるのか

ガラスコーティングを重ね塗りすることによって3つのメリットを享受できることが考えられます。

ガラスコーティングを重ね塗りすることで輝き(ツヤ)がアップする

ガラスコーティングは被膜を重ねるにしたがい厚みが増え、コーティング剤自体のツヤ感も相まって本来のオリジナル状態以上の深みのあるツヤが実現します。
これを可能とするのはガラスコーティングが無機系溶剤であるためです。
一方でカーワックスや俗にいうポリマー系溶剤などは有機系溶剤に分類されますので下記に説明しますが重ね塗りはしない方が良しです。

ガラスコーティングを重ね塗りすることで機能や耐久性が向上する

ガラスコーティングは従来の有機溶剤系コーティングや、ケイ素系フッ素コーティングと比べて、被膜が固く厚み(約0.5ミクロン~0.7ミクロンほど)があり、さらにコーティング被膜を重ねるに従い膜厚がアップし耐久性能が向上します。
それにより外的要因である紫外線や汚れ、さまざまなダメージによる劣化からボディを長期間保護し、撥水性などの機能も向上します。

ガラスコーティングを重ね塗りすることで被膜が強固になりボディを守る

被膜の硬さという面ではガラスコーティング剤の種類にもよりますが、完全に固まった状態では硬度(被膜の硬さ)が6H~9Hとなります。
ここでいう硬度とはJIS規格(日本産業規格)が定めている傷の付きづらさを数値化したもので、その硬さでこすって傷がつくかどうかという指標です。
一般的なスマホの保護フィルムは3H~4Hと言われています。

ガラスコーティングの重ね塗りの注意点

ガラスコーティングの重ね塗りにはたくさんのメリットがある事が分かりましたが、施工する溶剤や手順などを間違えてしまうとさまざまなリスクも存在します。下記ではその辺りに注意点について解説していきます。

有機系のワックスやポリマー系コーティングの重ね塗りは効果が無くむしろリスクあり

上記でも少し触れましたが、ガラスコーティングというものは無機系溶剤のため有機系のワックスやポリマー系コーティング剤とは根本の性質が異なり被膜同士が密着する事が無く、厚みが増してツヤがアップしたり、ボディを守るなどの機能性が上がったりという事はありません。
むしろ無機系ガラスコーティングの表面に重ね塗りすることで逆に汚れやすくなってしまう場合もあるので注意が必要です。

単純にガラスコーティング剤の硬度表記が高いほど性能がいいという勘違いに注意

ガラスコーティングの被膜が完全硬化すれば最大6H~9Hと固くなるといっても、ベースとなる車の塗装面が国産車で2H~輸入車で4Hほどと異なり且つ柔らかいため、その硬度を完璧に生かせるという事でもありません。
そこにさらにコーティング剤を重ね塗りをすることで層を厚くしていくことは可能となりますが、場合によりひび割れが起こったりすることなどもあるため一般的なコーティング剤では3層程度までが限界と言われています。
それとよくある勘違いとしてコーティングを重ね塗りしていき硬度を上げていったとしても、小傷などが付きづらくなることはあっても全く付かなくなるということは無いのでその点は要注意です。

重ね塗りするタイミングや施工方法に要注意

コーティングを重ね塗りする際には、ベースのコーティング被膜が表面硬化していない状態で施工してもほとんど意味がありません。
施工する際にはその溶剤の表面硬化時間や保管環境の際の温度などを確認し、それにしたがって再度洗車など施工面をクリーンな状態にしたうえで、ひとつの目安としては24h~48hほど乾燥させてから施工をおこなうのがベターです。
それと再度施工の際は乾燥が早まるため特に早めの拭き取りが必要になったり、タイミングを逃すと被膜が固まり拭き取りで取れなくなってしまうリスクもあります。

そもそも重ね塗り推奨の溶剤でない場合、何度も重ね塗りをおこなうと逆に塗装面トラブルの原因となる可能性がありますので注意が必要です。

スクラッチ傷などの小傷がどうしても防ぎたいという場合はほかにも選択肢はある

上記ではガラスコーティングを中心にみてきましたが、セラミックコーティングなどのさらに膜厚を重ねることができることで硬度を上げていくことが可能だったりする溶剤や、最近では熱でコーティング被膜が修復するコーティング剤などもあります。
プロテクションフィルムなどで完全にボディを保護するという選択肢もありますので、目的に応じてそういったものも含め検討してみるのもいいかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ガラスコーティングの重ね塗りは正しく施工すればベースコートの効果をさらにアップさせるために非常に有効な手段になります。
一方で施工環境や施工方法を間違えてしまうと逆にトラブルがおきてしまったり、既存のコーティングの性能を劣化させてしまうこともあります。
DIYでおこなう際には正しい知識を身につけ、場合によっては一部分から実験的に施工して様子を見てみるのもいいかもしれません。

最大限の効果を得たい場合は、それを可能とする知識、経験、設備を持った業者に相談してみるのも良いでしょう。
愛車にワンランク上の輝きをまといこれからも素敵なカーライフを送りましょう。

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